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乗西寺 寺報

2014年秋 第53号
つなぐ

ノーベル賞と『 ドラえもん』

今年のノーベル物理学賞が 3人の方に決まりました。赤崎勇、天野浩、 中村修二さん。全く科学的なものに弱い私でも、青色発光ダイオード (LED)の ことは知っていましたし、中村さんは勤めていた徳島の会社とモメてアメリカに行かれた人とすぐにわかりました。赤崎、天野さん二人が発見、中村さんが製品化 したわけですが、彼の報奨金は2万円でした。中村さんは納得いかず、会社を訴えられた。裁判では2百億の利益を与えたと判決がくだり、8億円で和解したという話でした。日本の会社はケチくさいのか、こんなものなのか…私はゴシップとして覚えています。


新しい発明、発見のノーベル賞の話題から私が思うのはあの何でもできる『 ドラえもん』。ドラえもんが新種の細菌を作り出す機械を使って部屋いっぱいの大ドラ焼きができた話では染色体・ DNA・ 遺伝子情報など科学の知見が散りばめられています。「どこでもドア」「タケコプター」など皆さんにも思い出す話や忘れられない道具があるのではありませんか。作者の藤子・F・不二雄さんは18年前に亡くなっているにもかかわ らず、のび太、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんそしてドラえもんのコミックスはもう40年以上が経 つた今も発 表 され続け、漫画・アニメ・映画は全年代の人々に見られています。誰のものでもなく何で も可能 にするドラえもんが「それだけはできない」 と言ったことがあります。それは、土地を出すこと、ましてその土地を、誰のものでもなくおいて置くこと。


のび太 「 ドラえもん、あき地を作る機械をだして 」 ドラえもん「 土地だけは作れないなあ 」この国はバブルを経て平成 26年の今、人も土地も利益を生まないものは切り捨てられ、全国の持ち家の7軒に1軒が空き家だというのも経済の問題です。 安倍政権は政治の目玉に「地方創生」を掲げて動き出し始めています。土地 はあつても、見捨てられてしまった所が点在しているのですが、それをどう再生していくのか、ドラえもんに考えてもらいたいものです。私は「誰の もので もなく」が肝だと思うのですが、寺はここのところをじつ くりと考えなくてはな らないのではないか。「誰のものでもないが、誰にとつても大事な場所」がお寺 と言えるように。のび太たちいつもの5人が裏山から町を見てつぶやく言葉が

「日本のすみからすみまで持ち主がいるなんて……」 私たちは国土を「利潤と利益のための私有地」に変えてしまったのです。あの土管のある空き地はどこへ消えたのでしょう。そういえば愛すべき自称「ガキ大将」ジャイアンみたいな存在はいるのかなあ…。われわれは死んでゆくときに、ちたいのです。つながりの感覚を持祖先とつながるのでも、子孫とつながるのでもいい。捉える発想の転換があるのでしょうか。

医師 大井 玄 私たちは死を迎えるまでどういう医療 を望み、どこでけたいのでしようか。 私自身も親父、ご門徒さんや友人の最期 に出合いリアルなものとして迫ってきています。大井医師は在宅での看取りを手助する終末医療の臨床に長年携わってこられた方です。大井医師はもうそろそろ亡くなるかもしれない、という方の終末期医療には3つの大事なことがあるとおっしゃってみえます。ひとつは身体的な苦痛 をとること。二番目には安心してもらうことといわれます。 さらに「安心してもらうにはどうしたらいいのか。われわれは死んでゆくときに、つながりの感覚を持ちたいのです。祖先とつながるのでも、子孫につながるのでもいい。コミユニティでもいいし、国でも、人類でも、宇宙でもいい。どういう方向であっても、何かのつながりを求めたい。それをある程度察して、そういう方向の話をしていかなければなりません」と在宅での看取り二つ目には家族にとても負担がかかるけれども、在宅での看取りの重要性をいわれます。つい先日のこと、友人の奥さんが亡くなられたのですが、その最期の5ヶ月を自宅で介護され、看取られました。休日の夕方に家族みんなが見守る中で、彼女は息をひきとられました。お通夜の席、私は法話で友人ご家族への尊敬の思いを語りました。それは友人の姿にやるべきことはつくしたという満足感を感じ、亡くなった彼女 も大変だったのですが、安らかに「つながり」のなかで死 を受け入れられたのではないかと思ったからです。

報恩講
11月 09日(日)午前10時〜

法話

お寺の可能性
松本紹圭 氏