名古屋乗西寺外観

乗西寺 時報

2023年 秋 第80号
つなぐ

更新日/2023年12月31日

メウシがブタのよこにやってきて、すわりました。メウシはブタのほっぺたをなめました。
  進化した取り組みを コロナ禍というかってない出来事を通して、私たちはいろいろな事に出合い直しを求められています。人との接触が制限されることで、逆説的に人が集まって話し合いをしたり食事をすることの重要性が浮かび上がってきました。 寺でも「法話のつどい」やさまざまな法要・行事で、ようやく共に話し飲食をする姿が戻りつつあります。11月に勤める「報恩講」も4年ぶりにお斎(昼食)を出します。前日から準備した手作りの料理を皆さんとともに食します。調理には、この機会に一人でも多くの新しい方々にご協力をいただき新たなメニューでやっていきたいと思っています。 ところで、孫の紗徠は11月で一歳九ヶ月になります。危なっかしいつかまり立ちから始まり、よちよち歩きそして靴を履いて散歩をするようになりました。「ワォ-ワ」「ニャ-ニャ」と散歩の途中で出くわす犬や猫を見て、怖がりながら両手を挙げて抱っこを要求してきます。

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学びほぐす
幼い孫と一緒に暮らしていると改めて学ぶことがあり、新鮮な気持ちになります。 そんな折、「学びほぐす」という言葉に出合いました。鶴見俊輔さんの『教育再定義への試み』の中にでてきました。鶴見さんが17歳の夏休み、1939(昭和14)年ニュヨ-クの日本図書館で働いていた時のことです。ヘレン・ケラ-が手話通訳の人とやって来たことがつづられています。

「館長が、宮城道雄の『春の海』のレコ-ドをかけると、ヘレン・ケラ-は、蓄音機に手をふれて、そのふるえから何かを感じて、音楽についての感想をはなし、偶然、私に質問して、私がハ-ヴァ-ドの学生だとこたえると、自分はそのとなりのラドクリフ女子大学に行った、そこでたくさんのことを「まなんだ」が、それからあとたくさん「まなびほぐさ」なければならなかった、と言った。 たくさんのことをまなび(learn)、たくさんのことをまなびほぐす(unlearn)。それは型どおりのスウェ-タ-をまず編み、次に、もう一度もとの毛糸にもどしてから、自分の体型の必要にあわせて編みなおすという状景を呼びさました。」
 

私は毎日、紗徠と顔を合わせ、「おはよう」を交わし、抱っこして本堂に上がります。孫は隣にある本棚を指さして本を取ってほしいしぐさをします。『ドラえもん』です。 私は老眼鏡を掛け、ソファに座って一緒に見ます。最近はもう一冊『ぴかくん めをまわす』、長 新太さんの描く信号の顔がユ-モアたっぷりで、二人でペ-ジをめくっています。


 「ヘレン・ケラ-のように盲聾唖でなくても、この問題は、学校にかよったものにとって、あてはまる          最後にはみずからのもうろくの中に編みこまなければならない。」と鶴見さんは書かれています。 よく耳にする言葉に「赤ちゃんはかわいい、年寄りはかわいくない」があります。いろんな意味あいがありますが、祖父母と孫は相性はいいのでは… 


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私たちは誰でもお互いに支え合って暮らしています。それぞれがケアされあっています。それがはっきり見えてくるのが、孫と私の関係だと思います。そこでは同じ時間を過ごし、相手が何を思い、感じているのかに注意を傾けているのです。一緒にいるだけで、うれしい楽しい。 私は人間の存在「いるだけですばらしい」をようやく教えられています。ただ、紗徠も日々成長し、変わっていきます。少し自我を体で言葉で表すようになりました。こちらは何かをやろうとして、はたと何をしようとしていたのか、鍵や眼鏡をどこに置いたのかなど忘れてしまう現実です。さて二人の関係はどうなっていくのでしょう。


連綿と続いてきた教え如来大悲の恩徳は身を粉にしても報ずべし師主知識の恩徳も 骨をくだきても謝すべし この和讃は報恩講の法要、最後に高らかに称せられる「恩徳讃」です。メロディ-をつけて皆さんとともに唱和する言葉でもあります。親鸞聖人にとっては、お釈迦さま、龍樹、天親、曇鸞、道綽、善導、源信、そして法然や聖徳太子は「師主知識」であります。これらの先輩の導きや恵みは、わが身を砕くような思いで感謝し喜んでいかねばならない。 遥か二千五百年の時間を途切れることなく大切な教えを伝え、私に手渡し届けてくださった。 それに私は出遇うことができた。聖人のそんな心情がうたわれています。〇聖徳太子・七高僧の掛け軸 「恩徳讃」でうたわれる聖徳太子と七高僧の掛け軸が乗西寺の本堂に掲げることができました。 実に78年ぶりのことであり、親鸞聖人を念う法要「報恩講」にお迎えできたことを皆さんと共に喜びたいと思います。  

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