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乗西寺 時報

2023年 春 第78号
つなぐ

更新日/2023年5月9日

私が小学校の時(1968年)「明治百年」というキャンペーンがありました。

政府主催の記念式典などもあったようです。

明治百年子どもだったのでよく知らないのですが。

ああなげかわしい昭和元禄明治は遠くなりにけりだ

明治を理想化したり、憧れたりする風潮が当時あったのでしょうか。

昭和は遠くなりにけり近頃はNHKも番組の宣伝をよくします。たまたま朝、ラジオを聞いていると、こんな昼の歌謡番組の宣伝が耳に入ってきました。「歌謡曲、グル-プサウンズそして平成、令和をいろどるJポップ」。そうか昭和はもう入ってこないのだ。

私が大学に入学した年、昭和43(1968)年は「明治百年」ということが大々的に叫ばれていました。俳人中村草田男に「降る雪や 明治は遠く なりにけり」があります。明治生まれの草田男が30歳の時、昭和6年に詠んだといわれています。明治という時代は過ぎ去り、大正、昭和という時代へと変化していくことに対する感慨を詠ったのでしょう。

昭和40年代の京都で過ごした私の大学4年間、どこからでも親鸞聖人が修行された比叡山を見ることができました。賀茂川べりを歩いて大学まで通っていたのも懐かしい思い出です。その昭和は元年が1926年ですから

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あと3年後には昭和も百年を迎えるわけです。

 「昭和百年」名実ともに「昭和は遠くなりにけり」です。明治維新以来文明開化の名の下、西洋に追いつくために国全体が走り続けててきました。その間に忌まわしい戦争を経験しました。ただ、人口は増え続け明治期3300万人だったのが昭和40年代には1億人を突破したのです。経済も右肩上がりの高度成長の時代になり、私たちも物の豊かさ、便利さを享受したのです。

 私はいわゆる団塊の世代ですが、「産めよ増やせよ」で戦後すぐは多くの赤ちゃんが産まれました。昨年の新生児は80万人を下回ったと発表されました。国の予想からは十年も早くなってしまったのです。岸田政権は大慌てで少子化対策に取り組み始めています。孫の紗徠は令和4(2022)年2月9日の生まれですから昨年の新生児の一人です。新型コロナのパンデミックの中での出産。私たちはその感染者数と死者数に一喜一憂する毎日でした。

ようやくコロナ感染も収まりかけていますが、私たちは各自、感染に気を付けての生活が始まります。新しい春です。そういえば今から百年前っていつだろう?大正十二年かということはあと三年で

昭和百年!百年なのに私にとっては 時代劇じゃなくて生まれ育った時代だよ!

 赤ちゃんの成長

孫の紗徠は日々変わっていきます。食は旺盛、好奇心も豊かで何か物を見つけると這って行って,手で触ります。それを口に持っていって舐めています。「這えば立て立てば歩め」と親だけでなく、その成長を誰もが願ってやみません。これも紗徠という存在(いのち)に対するかけがえのなさと大切さにほかなりません。1歳の誕生日に記念写真を撮りました。その写真を二人で見ながら「ウヮ-どうしよう」私たち二人は顔を見合わせながら、まぎれもない老いの現実に少し落ち込んでしまいました。

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言葉が出る

「ア-ァア-ァ」「ウ-ゥウ-ゥ」と言い出し始めた紗徠。言葉が単語として「マンマ」とか「パパ」や、私を見て「ジジ」と・・・「もの」と「ことば」が一致してしゃべるようになるのはいつなのか楽しみです。

 ある科学者の本に人間が言葉を獲得したのは四足歩行から二足歩行へと立ち上がることによって人間になった進化過程と、深く関係していると書いてありました。

 「人は下向きの重力によって喉の構造が変わり、微妙な音が出せるようになった。」さらに「立ち上がることによって、真っ直ぐになった背骨が重い脳を支えることができる構造になったことも言葉の獲得に大きく関わっている」というのです。

 紗徠も歩き始めると、擬音でなく言葉がでるようになるでしょう。

数では数えられない

 人生はいつも初めての経験です。思いもよらないことが起こります。私たちは、3年を越える新型コロナウイルスのパンデミックで感染者や死者が「何人?」に捉われ続けました。昨年2月、ウクライナで戦争が勃発し、多くの人々がミサイル攻撃などで命を奪われています。いまだ終わりは見えていません。

 戦争や疫病で人間を概数で数えることは、人を入れ替え可能なものとみなすことです。代わりのきかない一人ひとりの存在に対する不敬にほかなりません。数では測れない一人の命があるのです。

 孫とかかわる中で、一人の存在の大切さを益々感じています。

古本の売り上げを義捐金に            

本堂1階のホ-ル西側に「古本コ-ナ-」あります。その本の売り上げ金

32.951円を「トルコ・シリア大地震」の義捐金として日本ユニセフ協会へ送らさせていただきました。

今後もこのコ-ナ-へのご協力をお願いいたします。

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