乗西寺 時報
2022年 夏 第76号
つなぐ
更新日/2022年10月24日
ウクライナの今に思いを重ねる
日本から9千キロ離れたウクライナでは、もう五ヶ月あまり戦争が続いています。
7月16日(第三土曜)、寺での「みんぐるまんぐる広場」は映画会。イタリア映画『ひまわり』を上映しました。ウクライナの向日葵畑とヘンリ-マンシ-ニの音楽が印象的な作品がロシアのウクライナ侵攻によって、もう一度注目を浴びたのです。私はこの映画を大学3年の時(1970年)に納屋橋にあった映画館・名宝スカラ座で見ています。改めて観て、ソフィア・ロ-レン(ジョバンナ役)に魅せられました。相手役のマルチェロ・マストロヤンニ(アントニオ役)はソ連(ウクライナ)の最前線に参戦し、負傷します。運よく九死に一生を得て、助けてもらった女性と家庭をもち子供もでき、その地に残留するのです。ジョバンナは行方不明の兵士アントニオを探しにウクライナを訪れる・・・そこで見たのは・・・。ウクライナの女性をリュドミラ・サベ-リエワが演じています。彼女は当時、ソ連映画界きっての美貌の女優でした。『戦争と平和』『アンナカレ-ニナ』など、一連の大作に主演し、私もその美しさに惹きつけられていました。
今回、私は「そうか、あのソ連女優が出ていたんだ」と少し驚き、何かうれしくなりました。夕方5時からの映画会には、戻り梅雨の小雨のなか30名ほどの方が来てくださいました。
戦争は女の顔をしていない
戦争はつねに「男の言葉」で語られてきました。日本でも戦争を描いた小説や戦記物があります。なかでも大岡昇平の『野火』『レイテ戦記』や武田泰淳の『ひかりごけ』などすぐれたものもあります。女性の証言では「銃後の守り」として数多く語られてきました。
第二次世界大戦のとき、ソ連では多くの女性が前線に出てナチスドイツと戦いました。でも、私はこの『戦争は女の顔をしていない』を読むまでその事実について何も知りませんでした。
この戦争で女性兵士たちが実際にどんな苛酷な経験をしたのかが語られています。まだ十代の「ねんね」と呼ばれるような若い女の子たちが愛国心に燃えて志願し、男以上に戦ったといわれます。75名のドイツ兵を殺害した女狙撃兵もいました。
二等兵で射撃手だったロ-ラ・アフメ-トワは「戦争で一番恐ろしいのは何かって?あたしの答えを待ってるの?(中略)戦争で一番恐ろしかったのは、男物のパンツをはいていることだよ、これはいやだった。(中略)
ハハハ。・・・どうして笑わないのさ?泣いているのかい?どうして?」
聞き手であるアレクシエ-ヴィチが泣いているのです。語り手に共感しながら聞いている姿が伝わってきます。
「小さな人間」の声を拾い集めて
作者のアレクシエ-ヴィチ。父はベラル-シ人、母はウクライナ人です。彼女は第二次世界大戦の終結から三年後の1948年、ソ連ウクライナ共和国で生まれています。
ベラル-シのジャ-ナリストとして1970年末から80年代半ばに五百人以上の元女性兵士に直接会い、その心を開かせ、言葉を引き出しました。 元高射砲指揮官の女性は無事生き残って平時に戻ったとしても、戦争経験など「誰にも言えなかった。そんなことを言ったら、誰が…結婚してくれる?」と言い、自分たちの「勝利は取りあげられてしまったの」と…。
2015年、アレクシエ-ヴィチはノ-ベル文学賞に輝きました。
彼女は「小さな人たち」がためらいながら上げた「声」を溶け合わせ、壮大な合唱を立ち上がらせたのです。
コロナ下、感染対策をしながら勤めます
お盆法要 8月7日(日) 午前10時~
お勤め・法話
朗読(新美南吉の作品)終了後 パンと飲み物
お墓参り 8月12日(金)・13日(土)
平和公園 両日とも朝7時半~正午
花屋さんが出張販売します
{みんぐるまんぐる}ひろば
第三土曜日の夕方 老若男女問わず集う場所
・9月17日(土)午後5時~
映画「エール!」
聴覚障害を持つ家族の中で、ひとり耳の聞こえるポーラは、、、
乗西寺カフェ 会費300円
8月10日(水) 9月14日(水)
両日とも午後1時半~
手とからだを動かして 淹れたてのコーヒー お菓子
護持会費について
お寺の営繕、維持のために今年度もご協力をお願いいたします。
納入は、お参りの折、青色封筒に入れて頂くか、銀行にお振り込みくだ されば幸いです。よろしくお願いします。
なお、すでに納入して頂いた方には、感謝申し上げます。
《振込先》 宗教法人 乗西寺護持会
・十六銀行池下支店 店番562 普通1027844
・ゆうちょ銀行 12110-3 30064041
【あとがき】親鸞聖人は「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」と言われる。私たち人間は「わがこころよくて、ころさぬにはあらず。また害せじとおもうとも、百人千人をころすこともあるべし」ともおつしゃられている。7月8日の衝撃的で痛ましい出来事、ウクライナの戦争に思いを馳せながら、聖人の教えを熟慮し、かみしめたい(住職)